
DAVID BOWIEを一躍スターダムに押し上げたアルバム。前アルバムHUNKY DORYに続いて、奥行きのない平面なサウンド感。当時ボウイはバイセクシャルを公言していたが、この平面でのっぺりしたサウンドとボウイの高音の歌声が、そのバイセクシャルな雰囲気を醸し出している。
コンセプトアルバムと言われるこのアルバムは、地球があと5年間で滅亡してしまうという1曲目のFIVE YEARSで始まる。私は同時代で聴いていないので、この提示がどれだけのインパクトがあったのか分からないし、なんだか荒唐無稽な感じもしてしまう。だけど、このアルバムが発売された1972年はまだベトナム戦争をしていたり、不安定感も大きかったのかな。その上、まだ精神的に不安定な思春期の少女たちは、自分の人生と社会に対する不安をこの物語に写したのか。
そして、滅亡を目前にした地球に宇宙からロック・スターが現れ、地球を救いに来るという地球滅亡と救世主というテーマなのだが、後半は、奢れるもの久しからず、頂点に立った者のエゴがテーマになっていく。だから「RISE AND FALL」なんだろうし、大きなテーマは奢れるもの久しからずなんだろうか。上り詰めた人間がどうなるのか?というのは次のアルバムALLADIN SANEの収録曲CLACKED ACTORでも歌われているし、ボウイの人生観のテーマの一つだったのかな。
ZIGGY STARDUSTでボウイはスターダムに乗ったわけだから、上り詰める前に上り詰めた後の問題を生々しく描くなんていうのが、天才的なボウイのなせる技なのかもしれない。
SF宇宙的な歌詞、登場人物はジェンダーレスなロック・スター、甲高く甘美なボウイの歌声、そしてのっぺり平面で美しいサウンド、そして、ライブでは、ド派手な化粧と、山本寛斎と組んだ歌舞伎的でいて、宇宙的なド派手な衣装。音楽だけでなく、全てのパフォーマンスが組み合わさり、前代未聞なライブが行われることによって、ボウイは頂点に達した。
SIDE 1(Mat1),SIDE 2(Mat2):UK Original
A面がマトリックス1、B面がマトリックス2。おそらく両面マトリックス1の次に売られた版だと思われる。
0 件のコメント:
コメントを投稿