ファースト・アルバムは、1960年代アメリカのポップアートの第一人者、Andy Warholがプロデュースしたが、この2枚目は、Andy Warholはプロデュースからは外れいている。そして、ファーストでは、モデルのNICOがヴォーカルとして参加しているが、NICOも参加していない。NICOもAndy Warholが参加させたので、実質、VELVETSの本質的なアルバムなのかもしれない。
このアルバムが発売されたのは1968年1月。イギリスでは、この年の11月にThe Beatlesのいわゆるホワイトアルバムが発売された。ホワイトアルバムって、私にとっては、ものすごくセンシティブでアバンギャルドで破壊的なイメージがあるんだけど、その10ヶ月前に、こんなにセンシティブで暴力的なアルバムが既に発売されていたことが驚きだ。
アルバムは全編に渡り、ノイズと轟音、ドラッグと性倒錯、アバンギャルドな音と歌詞に満ちている。ファーストもそんな感じだったが、それでも少しAndy Warholによってマイルドになっていたような気もするのだが、本作は、何もかも削ぎ落として、最終的に狂気だけ収録されたようなアルバムだ。
1曲目は、ポップな曲調に麻薬中毒者の幻覚のような歌詞。2曲目は、THE GIFT、贈り物という温もりのある曲名だが、遠距離恋愛の彼女のことが心配になり、自分を梱包して贈り物となって、これを開封するのに彼女の友達が、その男の脳天を突き刺してしまうという狂った歌詞。この歌詞を、ノイジーなバックミュージックに乗せてJohn Caleが朗読し、途中でLou Reedの叫び声のようなコーラスが入る。こんな音楽聞いたことがない。そして3曲目もJohn Caleが、流れるようなノイズサウンドに乗せて淡々と歌う。性転換とかロボトミー手術をされる歌を。いわゆるB面は、2曲しかなく、どちらも轟音ノイズ。
この時代に、こんなことをやってのけたVELVETSって、本当にすごいと思う。
SIDE 1(STEREO),SIDE 2(MONORAL):HOLLYWOOD Reissue
ジャケットやラベルなどからすると、1968年に販売されたオリジナルのものではなさそうだ。ただ、どうなんでしょう?当時、VELVETSは商業的には全く成功していなかったから、そんなに枚数は売れてないんじゃないだろうか。そうするとプレス工場が変わっただけで、マスターは変わっていないのではないか?と勝手に淡い期待を抱きつつ聴いています。
デッドワックスにクレジットされている、数字の1と2がマトリックスNo.であるのなら、オリジナルの若いマトリックスNo.を聴いていることになるんだろうけど。