2023年12月16日土曜日

WHITE LIGHT/WHITE HEAT|THE VELVET UNDERGROUND:1968

 THE VELVET UNDERGROUNDの2枚目、WHITE LIGHT/WHITE HEAT。
 ファースト・アルバムは、1960年代アメリカのポップアートの第一人者、Andy Warholがプロデュースしたが、この2枚目は、Andy Warholはプロデュースからは外れいている。そして、ファーストでは、モデルのNICOがヴォーカルとして参加しているが、NICOも参加していない。NICOもAndy Warholが参加させたので、実質、VELVETSの本質的なアルバムなのかもしれない。
 このアルバムが発売されたのは1968年1月。イギリスでは、この年の11月にThe Beatlesのいわゆるホワイトアルバムが発売された。ホワイトアルバムって、私にとっては、ものすごくセンシティブでアバンギャルドで破壊的なイメージがあるんだけど、その10ヶ月前に、こんなにセンシティブで暴力的なアルバムが既に発売されていたことが驚きだ。
 アルバムは全編に渡り、ノイズと轟音、ドラッグと性倒錯、アバンギャルドな音と歌詞に満ちている。ファーストもそんな感じだったが、それでも少しAndy Warholによってマイルドになっていたような気もするのだが、本作は、何もかも削ぎ落として、最終的に狂気だけ収録されたようなアルバムだ。
 1曲目は、ポップな曲調に麻薬中毒者の幻覚のような歌詞。2曲目は、THE GIFT、贈り物という温もりのある曲名だが、遠距離恋愛の彼女のことが心配になり、自分を梱包して贈り物となって、これを開封するのに彼女の友達が、その男の脳天を突き刺してしまうという狂った歌詞。この歌詞を、ノイジーなバックミュージックに乗せてJohn Caleが朗読し、途中でLou Reedの叫び声のようなコーラスが入る。こんな音楽聞いたことがない。そして3曲目もJohn Caleが、流れるようなノイズサウンドに乗せて淡々と歌う。性転換とかロボトミー手術をされる歌を。いわゆるB面は、2曲しかなく、どちらも轟音ノイズ。
 この時代に、こんなことをやってのけたVELVETSって、本当にすごいと思う。

SIDE 1(STEREO),SIDE 2(MONORAL):HOLLYWOOD Reissue

レコード番号:V6-5046
左下にスカルが書いてある。これは、Andy Warholデザインのもの。プロデュースからは外れたものの、デザインには関わっている。ただし、再発盤から、このスカル・デザインが無くなっていく。


Cover Consept:Andy Warholとクレジットされている。表面にAndy Warholデザインのスカルがあるので当然。スカル・デザインが無くなった盤は、当然、Andy Warholのクレジットが無くなる。
A面4曲目のHERE SHE COMES NOWのタイトルが、THERE SHE COMES NOWと誤表記されている。

Side 1

ラベルには、V/5046(MG 1258)
とV6/5046(MGS 1258)という2つのカタログ番号が記載されている。V/5046(MG 1258)はモノラルのカタログ番号で、V6/5046(MGS 1258)はステレオのカタログ番号なのだ。そして、デッドワックス(溝のないところ)には、手書きでV6 5046 MGS 1258と刻まれている。ということは、この盤はステレオ盤なのだ。

また、ラベルのリムにMANUFACTURED BY MGM RECORDS,INC,,7165 SUNSET BOULEVARD,HOLLYWOOD,CALIF,90046と記載されている。これが記載されていたのは1972年から1974年の間に発売されていたSUNSETラベルと言われるものになる。

そして、デッドワックスには、kという文字も刻まれている。これは、1971年頃からMGMのプレスに使われていたKeelというプラントでプレスされた盤ということ。ということで、残念ながらオリジナル盤ではないということにはならないのだろうか。

あと、もう一つ、デッドワックスに、2という文字も刻まれている。これは、マトリックスNo.なのだろうか。



Side 2

ラベルには、V/5046(MG 1259)
とV6/5046(MGS 1259)と、Side 1と同じく2つのカタログ番号が記載されている。そして、デッドワックスにはV 5046 mg1259と刻まれている。これは、モノラルのカタログ番号なので、B面はモノラルということになる。ということで、この盤は、A面がステレオ、B面がモノラルという変則的な盤なのだ。

あと、デッドワックスのV 5046とmg1259の間に文字が刻まれているのだが、S10e2だろうか、よく分からない。

そして、A面と同じく数字だけ刻まれいるのもあり、こちらは1が刻まれている。

 ジャケットやラベルなどからすると、1968年に販売されたオリジナルのものではなさそうだ。ただ、どうなんでしょう?当時、VELVETSは商業的には全く成功していなかったから、そんなに枚数は売れてないんじゃないだろうか。そうするとプレス工場が変わっただけで、マスターは変わっていないのではないか?と勝手に淡い期待を抱きつつ聴いています。
 デッドワックスにクレジットされている、数字の1と2がマトリックスNo.であるのなら、オリジナルの若いマトリックスNo.を聴いていることになるんだろうけど。

2023年12月10日日曜日

THE RISE AND FALL OF ZIGGY STARDUST AND THE SPIDERS FROM MARS|DAVID BOWIE:1972

  DAVID BOWIEを一躍スターダムに押し上げたアルバム。前アルバムHUNKY DORYに続いて、奥行きのない平面なサウンド感。当時ボウイはバイセクシャルを公言していたが、この平面でのっぺりしたサウンドとボウイの高音の歌声が、そのバイセクシャルな雰囲気を醸し出している。
 コンセプトアルバムと言われるこのアルバムは、地球があと5年間で滅亡してしまうという1曲目のFIVE YEARSで始まる。私は同時代で聴いていないので、この提示がどれだけのインパクトがあったのか分からないし、なんだか荒唐無稽な感じもしてしまう。だけど、このアルバムが発売された1972年はまだベトナム戦争をしていたり、不安定感も大きかったのかな。その上、まだ精神的に不安定な思春期の少女たちは、自分の人生と社会に対する不安をこの物語に写したのか。
 そして、滅亡を目前にした地球に宇宙からロック・スターが現れ、地球を救いに来るという地球滅亡と救世主というテーマなのだが、後半は、奢れるもの久しからず、頂点に立った者のエゴがテーマになっていく。だから「RISE AND FALL」なんだろうし、大きなテーマは奢れるもの久しからずなんだろうか。上り詰めた人間がどうなるのか?というのは次のアルバムALLADIN SANEの収録曲CLACKED ACTORでも歌われているし、ボウイの人生観のテーマの一つだったのかな。
 ZIGGY STARDUSTでボウイはスターダムに乗ったわけだから、上り詰める前に上り詰めた後の問題を生々しく描くなんていうのが、天才的なボウイのなせる技なのかもしれない。
 SF宇宙的な歌詞、登場人物はジェンダーレスなロック・スター、甲高く甘美なボウイの歌声、そしてのっぺり平面で美しいサウンド、そして、ライブでは、ド派手な化粧と、山本寛斎と組んだ歌舞伎的でいて、宇宙的なド派手な衣装。音楽だけでなく、全てのパフォーマンスが組み合わさり、前代未聞なライブが行われることによって、ボウイは頂点に達した。

SIDE 1(Mat1),SIDE 2(Mat2):UK Original

 A面がマトリックス1、B面がマトリックス2。おそらく両面マトリックス1の次に売られた版だと思われる。
レコード番号:SF8287(LSP4702)

RCAのロゴがゴールドで右上にあるのが、UKオリジナルのレコードが入っている証。
だが、ジャケットだけに着目すると、ジャケットだけで考えると、このジャケットはオリジナルではない。オリジナルはもっと色が濃い。
ZIGGY STARDUSTがリリースされたのが1972年6月。裏ジャケットの右上に、A GEN PRODUCTIONと記載されている。
同年にボウイのマネジメント会社、A MAINMAN PRODUCTIONが設立されており、その後のジャケットには、A MAINMAN PRODUCTIONが記載されている。

スリーブは歌詞カードになっている。
裏面の余白には、DAVID BOWIEとSPIDERS FROM MARSメンバーのどアップの写真が掲載されている。
裏面にTitanic Music Limitedとクレジットされているが、A MAINMAN PRODUCTIONが設立されたあとは、MAINMANのロゴが入るようだ。

SIDE 1
Matrix No.:BGBS 0864-1E
Metal Mother No.:B2AAI
SIDE 2
Matrix No.:BGBS 0865-2E
Metal Mother No.:A4S